中枢性睡眠時無呼吸の基本的情報をご理解していただいた上で、実際の人間に生じる病態(どんなメカニズムなのよ〜)を解説させていただきます。はて??と感じられている方は、
“中枢性睡眠時無呼吸(CSA:Central Sleep Apnea )とは? その1 基礎編”
をお読みくださいね!
チェーンストークス呼吸がある中枢性睡眠時無呼吸について、“中枢性睡眠時無呼吸(CSA:Central Sleep Apnea )とは? その1基礎編”でお示ししたように、脳の呼吸中枢に問題がある場合、例えば頭部外傷や脳梗塞、脳腫瘍等が存在すると睡眠の中枢に不具合が起きそうなことは想像できるかと思います。ですが脳の視床下部(呼吸中枢:呼吸を管理している部位)のどの細胞?どの部位(ミトコンドリア?ミクログリア?ゴルジ体?などなど)までの障害によって“チェーンストークス呼吸がある中枢性睡眠時無呼吸”が発生しているか詳細には解明されてない・・と思います。ですので、深掘りできない分野でして・・・勉強不足でしたらすいません!
一方で心臓の機能が低下している心不全の方々にも同様のチェーンストークス呼吸がある中枢性睡眠時無呼吸が多く存在します。そのため今回は心不全患者さんに焦点をあて、病態(どうゆうメカニズム?)を解説しようかと思います。
ここで問題となるのが、“心不全って何?”という疑問をお持ちになりましたか?端的にいうと、“心臓がパンパンになってしまって身動き取れない”状態です。例えるなら、大好物の焼肉食べ放題4800円に友人と行き、もったいないからカルビやロース、希少部位のお肉とビールを必死で食べた後、ご飯大盛り2杯と冷麺とデザートのアイスクリームを食べ、もうお腹がパンパンで身動き取れない状態、ご経験ないでしょうか?実際の心不全は息も絶え絶えとなるので、お腹パンパンの10〜20倍ぐらいに心臓がパンパンになってしまった状態でしょうか?ちょっとは想像できないくらい苦しそうですね!
いろいろな理由で心臓の動きが低下すると左側のお部屋の圧が上がります(左室拡張末期圧が拡張障害で上昇)。すると心臓の左のお部屋とつながっている肺がうっ血(血が停滞している状態)します。その結果、肺間質組織の受容体を介し換気ドライブ亢進(ハアハアしたくなる)により過換気傾向となり、PaCO2(二酸化炭素分圧)が低値となります。すると無呼吸閾値が下回り(呼吸したくなくなる)、中枢性に呼吸停止となるのです。
う〜〜難しいですよね〜!ちょっと面倒になってしまった方は、“必殺読み飛ばしの術”をお使いください。なるほど〜と思われる医療関係者の方もおられるかと思いますので、そこはフムフムと一人で思っていただければ嬉しく思います。
ちなみに心臓には右心系と左心系にわかれ、右心房―右心室と左心房―左心室の4つのお部屋がありますよ!これも話し始めると長くなりそうなので、別の機会の簡単にご説明させていただきます。
その他の要素として、交換神経過剰活性となると・・これってつまり興奮状態になっている感じでしょうか?首(頚部)の動脈に接するように存在する頸動脈小体(末梢化学受容体)、脳の奥の奥にある間脳室ぼう核(中枢化学受容体)のCO2反応亢進することで、また過換気となって同様の病態が進行します。興奮を感じる受容体が首の動脈の縁と脳の中心部にあるってこともついでに覚えておいてください。ハアハアする過換気状態がよくないって事は、なんとなく理解していただければと思います。
心不全患者の病態のまとめ
○左室拡張末期圧が拡張障害で上昇
→ 肺うっ血
→ 肺間質組織の受容体を介し換気ドライブ亢進
→ 過換気傾向
→ PaCO2低値
→ 無呼吸閾値下回り
→ 中枢性に呼吸停止
○交換神経過剰活性
→ 頸動脈小体(末梢化学受容体) のCO2反応亢進
間脳室ぼう核(中枢化学受容体)のCO2反応亢進
→ 換気応答亢進
→ 過換気
→ PaCO2低値
→ 無呼吸閾値下回り
→ 中枢性の呼吸停止
う〜ん、人間の体は複雑でわかっていないことも多いですので、難しいですね〜
でも、だから面白い!!
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