“早く寝ないと大きくなれないよ”は本当だったのか問題!

睡眠といろいろ

ーー 要約 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

“早く寝ないと大きくならない”は、半分正解・半分間違い!

  • 成長ホルモンは、睡眠前半の深睡眠時に分泌される
  • 成長ホルモン分泌は時刻ではなく、寝てから2〜4時間後
  • 睡眠不足は脳の発達、認知機能、行動にも影響しうる
  • 必要な睡眠は小学生で10時間前後、中高生で8〜9時間

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 小さい頃、“早く寝ないと大きくならないわよ〜”と母親に言われ、家族が楽しそうにテレビを見ているのに無理やり寝かされた苦い経験ありませんか?あの理不尽さ(本当は愛なのでしょうね)今でも覚えています。その根拠としてよく語られるのが、成長ホルモンの分泌は22時〜2時にピークを迎えるという説です。その時間に寝ていないと成長できないと母親は言っていた記憶があります。これは本当なのでしょうか。今回はこの疑問に決着をつけます。

◯  成長ホルモンが出るのは「深い眠り」の時

 まず事実の確認から、成長ホルモンは夜間の睡眠前半に多い深睡眠時に分泌されると一般的に言われています。そして子どもにとって、このホルモンは骨の発達や筋肉の成長に大きく影響します。「寝る子は育つ」は、言い伝えではなく本来人間が持っているメカニズムの話だったわけです。さらに睡眠不足の子どもは脳の構造の発達が不十分になる場合があり、それにともなって認知機能の低下や問題行動の増加が見られるという報告もあるようです。背が伸びるかどうかだけの話ではなく、眠りは体と脳の両方を作っている時間ということです。

“最近この子、集中力がない”、“妙に怒りっぽい”、そんな変化を性格や反抗期のせいにする前に、その子の睡眠時間を確認する必要があります。そして大人にも関係があります。成長ホルモンには免疫力の向上、体脂肪の代謝調節、疲労回復への効果もあると言われています。“もう成長しないから関係ない”とは言えないのです。睡眠不足は大人でもイライラや注意力低下を招きます。育ち盛りの脳なら、なおさらでしょう。

◯ 大切なのは就寝時刻ではなく「入眠後2〜4時間」

 さて本題の疑問です。早く寝ないと大きくなれないのか?

これはちょっと間違った認識です。解答としては睡眠開始から2〜4時間後に出現する深睡眠(N3)で、成長ホルモンの分泌が上昇することがわかってきました。つまり重要なのは早く寝ることでも、22時〜2時に寝ていることでもありません。しっかりとした深睡眠を獲得できるかどうかです。時刻ではなく、眠り始めからの経過時間が非常に重要です。

逆に言えば22時に布団へ入っても、寝つけずにスマホをいじっていたら意味がありません。時刻を守ることと、深く眠ることはまったく別の話です。「布団に入った時間」ではなく「眠り込んだ時間」から数え始めて2〜4時間後が重要!と覚えてください。

もしお母さんから、奥さんが自分の子供に“早く寝ないと大きくなれない”と言っていたら、こう言い返してください。

“寝始める時間じゃなくて寝てから2〜4時間でどれだけ深く眠れるかが重要なんだってよ”

あ〜でもこれ言う前に覚悟が必要ですよ。お母さんや奥さんの言うことを聞かないと、生活が破綻する可能性があります。夕食が出てこない、洗濯をしてもらえないなどなど・・・大事件です。家族であれこれおしゃべりしてコミュニケーションを保つことがとても大切ですので、間違っても正論を振りかざしてはいけません。正しさで勝っても、夕食を失っては割に合いませんから・・。

◯ 睡眠中に働く3つのホルモン

 せっかくなので、睡眠に関わるホルモンを整理しておきます。詳しくは別の機会にご説明しますが、ざっと3つです。

コルチゾールは、ステロイドとも呼ばれストレスに対して体を戦闘状態に保つホルモンです。腎臓の上にある副腎という小さな臓器の、副腎皮質から分泌されます。起床に合わせて朝方から分泌が増え、目覚めたあとの戦い——つまり日常生活——に備えます。

メラトニンは、深部体温を下げることで眠気を誘導するホルモンです。脳の中心部にある松果体から22時ごろより分泌が始まり、睡眠中に最大となります。眠りのホルモンですから日中はほとんど分泌されません。

成長ホルモンは、前述のとおり睡眠開始2〜4時間後の深睡眠でもっとも多く分泌され、疲労回復や臓器の発達・修復に作用します。

朝に備えるコルチゾール、夜を作るメラトニン、修理を担当する成長ホルモン。体の中では、24時間シフト制で働いているようなものですね。

そして、このシフトは光と時間で管理されています。夜に明るい光を浴びればメラトニンの分泌は抑えられ、シフト全体が後ろへずれていきます。寝る前に強い光を浴びるのが問題なのは、このような理由があるからです。

◯ 子どもに必要な睡眠時間

 では、子どもは何時間眠ればよいのか。理想とされている目安はこちらです。

  • 小学生:10時間前後
  • 中高生:8〜9時間

いかがでしょうか?

“うちの子、全然足りていない”と思われた方が多いのではないでしょうか。中高生で8〜9時間となると、7時起きないといけないなら22時台には寝ている計算です。塾や部活を考えると、なかなか厳しい数字だと思います。我が家の子どもたちを思い返しても、達成できていた日がどれだけあったか怪しいものです。ここで一つ皮肉なことがあります。勉強時間を確保するために睡眠を削ると、記憶を整理する時間まで削ってしまう。一夜漬けの記事でお伝えしたとおりです。削った時間の分だけ成果が減るなら、その勉強時間は割に合いませんね。しかもスマホ、ゲーム、YouTubeなど現代の子どもたちはやることが多すぎます。時間はいくらあっても足らないですね。脳の修復や筋肉・骨の成長には、十分な睡眠時間は必要な時間です。結論としては、子供たちには無理やりにでも睡眠時間を確保させないといけないということになります。

頑張れ、親御さん!

◯ まとめ

“早く寝ないと大きくならない”は、半分正解・半分間違い!

  • 成長ホルモンは、睡眠前半の深睡眠時に分泌される
  • 成長ホルモン分泌は時刻ではなく、寝てから2〜4時間後
  • 睡眠不足は脳の発達、認知機能、行動にも影響しうる
  • 必要な睡眠は小学生で10時間前後、中高生で8〜9時間

親御さんの目標は“22時までに寝かせること”ではありません。寝入ってから数時間を、深く静かに眠らせてあげることです。寝る前にゲームで興奮させない、部屋を暗くする、物音を立てない。この連載でお伝えしてきた工夫は、そのまま子どもにも当てはまります。理屈がわかれば子供への叱り方も変わってきくるのではないでしょうか?

コメント

  1. 噴水 より:

    やる気もらった 構成力。

タイトルとURLをコピーしました