ーー 要約 ーーーーーーーーーーーーーーー
・横になって目を閉じても睡眠とは言えない
・眠らないかぎり睡眠負債は減らない
・眠れない夜は布団から出る
・睡眠には助走と準備が必要
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明日は遠足、楽しみで楽しみで布団に入ってもニマニマして眠れない。運動会の前日、遊園地に行く前の晩、初めてのディズニーランド、目がギラギラして仕方なかった思い出ありませんか?母親からは“早く寝ないと明日遅刻するよ”、“起きないとお留守番にするからね”と、なかなかの脅し文句、必死で眠ろうとするほど眠れません。そんな私に母はこう言いました。“とりあえず布団の中で横になって、目を閉じてじっとしていなさい。寝ていることになるから・・・”今回は、この言い伝えが本当かどうかを検証します。
◯ 睡眠学的には、横になって目を閉じてもまったく眠っていることになりません!
結論から言います。意識がある状態で布団に横になり、目を閉じてじっとしている。これは全く・全然・ちっとも眠っていることになりません。
“お母さん、ごめんなさい。”
現在の睡眠学では、眠っているかどうかを脳波で分類し定義しています。覚醒時に見られるアルファ波(α波が50%以上)から、徐波と呼ばれるゆるやかな波形へ移り変わっていく。その過程と特徴的な波形の出現によって睡眠段階を区別しているのです。かなりマニアックな世界ですので、別のお話でわかりやすく解説できればと思っています。
ここで大事なのは、目を閉じて横になっているだけの状態では、覚醒のアルファ波がず〜っと出続けているということです。脳は起きたままの状態です。そのため“を閉じて横になっているだけ”では、逆立ちしても睡眠にはなりません。体は横になって休んでいても脳は仕事中、そう考えるとイメージしやすいと思います。目を閉じるのは、あくまでカーテンを引いただけで中で働いている人はまだ帰っていないのです。
◯ 眠らないかぎり睡眠負債は1円も減らない
目を閉じて横になっているだけの状態は、気分の問題ではなく実害があります。横になっているだけでは、睡眠欲求(眠りた〜いという欲求)は維持されたままです。つまり睡眠負債の解消がまったく進みません。借金を返しているつもりで、実は口座の残高が1円も動いていない状態です。
さらに厄介なのが、眠れないまま横になる夜が何日も続いた時です。脳が「自分の布団やベッドの上は眠れない場所だ」と勘違いを始めます。こうなると悪循環です。寝床に入るたびに“また眠れないんだろうな”と感じ、その緊張が眠りをさらに遠ざけてしまいます。本来いちばん安心できるはずの寝室という場所が、苦手な場所に変わってしまいます。ソファーやコタツではすぐ眠くなるのに寝室へ移動した途端に目が冴える方は、この勘違いがすでにあなたの脳で起きているのかもしれません。まあ、遠足やディズニーランドは毎日行くことはないので安心してください。
◯ 眠れない夜は布団から出る
寝床に入って眠れない時はどうするか?無理に眠ろうとしなくて大丈夫です。 いったん布団やベットから出て、気分転換をしてください。家の中を散歩をするのも良し、ソファーにゆっくり座って温かい飲み物を飲むのも良しです。とにかくリラックスできる環境を確保することです。そして再び眠気を感じたら、あらためて寝床に入る事を強くおすすめします。“布団=眠れる場所”という考えをあなたの脳に覚え込ませることが睡眠にとって大切な習慣となります。数時間くらい眠らなくても、間は死にません。明日仕事が学校が早いから、“眠らなければ”と焦るその気持ちこそが1番の敵です。
ここで避けていただきたいのが、布団の中でスマホを触ることです。気分転換にはなりますが寝床で起きている時間を延ばしてしまいますし、光も刺激になります。どうせ起きているなら、布団から出てしまった方が睡眠にとってはベターな選択です。
◯ どうしても眠れないなら目と耳を閉じる
とは言っても、夜中に起き出すのが難しい状況もあります。そんな時のために次の一手をお伝えしておきます。人間が受け取る情報は目から入ってくるものが約80%、残りの多くは耳からと言われています。そうであれば、この2つの情報流入口を塞ぐのが睡眠にとっては効率的です。目を閉じて脳への刺激を減らし、耳栓で耳からの情報もシャットアウトする。これで眠ったことにはなりませんが、少なくとも脳をリラックスさせる効果はあると言われています。
“寝たことになる”ではなく、“脳を休ませる”と考えを少し変えて考えると、眠れない夜も気持ちがラクになると思います。
◯ “朝、起きられなくて遊園地に連れて行ってもらえなかったらどうしよう”問題
ここで子供の頃の私の不安にも答えておきたいと思います。“朝、起きられなくて遊園地に連れて行ってもらえなかったらどうしよう”問題です。母親からよく言われていました。“早く寝なさい、起きれなかったら先に遊園地に行っちゃうからね〜”と、私を早く寝かしたかったんだと思いますが、家の置いてきぼりにされたら・・・どうしようどうしようと布団の中で悩んだ思い出があります。
親になって思うのですが、親は子どもが楽しんでいる様子を楽しむために遊園地へ行くのです。子供をお留守番させてまで自分が遊園地に行きたい親は、ほぼ100%いません。楽しそうにはしゃいでいる我が子をニマニマしながら見ていたい、それが親やジジババの願望です。だからドキドキせず安心して眠ってください、大丈夫ですよ!あなたは愛されています。
◯ 眠る準備、気合いを入れてしていますか?
さて、ここからが本題かもしれません。眠る準備を意識している方は、どれくらいおられるでしょうか?思いつくものを挙げてみます。
- 冬は布団を温めて、ほかほかにしておく
- 夏は部屋を快適な温度に保つ
- 肌触りのよい、リラックスできるパジャマを着る
- 晩ごはんのあとから部屋を少し暗くする
- 心がゆったりする音楽を小さな音で流す
- 寝る1〜2時間前までに、お風呂でゆっくり温まる
どれも特別なことではありません。お金がかかるものもほとんどないはずです。半分以上、睡眠のために取り入れている方はどれくらいおられるでしょうか?大切なことは“これをやったら寝る時間だ”という合図を体に覚えさせることです。部屋が暗くなる、風呂から上がる、パジャマに着替える、この流れを毎晩繰り返していると、体のほうが先に睡眠の準備を始めてくれる様になります。
アスリートは試合前に入念なウォーミングアップをします。いきなり全力で走り出す選手はいません。そして決まったルーチーンをこなすプロ選手も多いと聞きます。睡眠も同じです。競技に臨むようなイメージで睡眠の助走と準備が必要なのです。1日中スマホを見て、明るい部屋にいて、寝る直前に布団へ飛び込む、これは準備運動なしでいきなり100m走に出るようなものです。眠れなくて当然なのかもしれません。
◯ まとめ
・横になって目を閉じても睡眠とは言えない
・眠らないかぎり睡眠負債は減らない
・眠れない夜は布団から出る
・睡眠には助走と準備が必要
目を閉じて横になっているだけでは睡眠とはなりません。脳波は覚醒したままで睡眠負債も減りません。さらに続けば、寝床が“眠れない場所”として記憶されてしまいます。眠れないときは布団から出て、気分転換をしてから戻る。どうしても無理なら、目と耳を塞いで脳を休ませる。そして何より、眠るための準備に時間をかける。母の教え“目を閉じて横になっているだけでは寝ていることになる”は、子どもを落ち着かせるという意味では正解でした。ただ睡眠としてカウントされていなかった、それだけの話です。睡眠は、ただ寝るだけのものではありません。
気合いを入れて、明日から熟睡確保に挑戦してください。


コメント
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