夜中のトイレで目が覚める人へ〜犯人は3人います〜

睡眠と病気

ーー 要約 ーーーーーーーーーーーー

夜のトイレの犯人は3つです。

・飲みすぎ

・泌尿器系の病気

・無呼吸

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 ゆっくり眠りたいのに寒くなると夜中にトイレで起きてしまう、そんな冬を過ごしていませんか?眠いのに尿意で目が覚める、でも暖かい布団から出るのが面倒でガマン、ガマン。どうにもならなくなってお漏らし寸前、意を決してトイレへダッシュ!これは、膀胱にも心臓にもよくありません。限界まで尿をためるのも、暖かい布団から寒い廊下へ飛び出すのも体には負担です。冬の夜のトイレは、ただ眠りを削るだけの話ではないのです。

では、どういう人が夜間頻尿になるのでしょうか。大きな原因は3つ、水分の取りすぎ、泌尿器系の病気、そしていびき・無呼吸です。

順番にご説明していきましょう。

◯ 犯人① 夕方から夜の水分、特にお酒

 1つ目のわかりやすい原因から・・・夕方から夜にかけての水分の取りすぎです。よく聞くのは、やはりお酒の飲みすぎのケースですね。飲んだ水やアルコールは胃を通って小腸・大腸へ進み、そこで大部分の水分が吸収されます。吸収された水分は静脈系に入って循環血液となり、いったん心臓に戻ってから全身へ送り出されます。そして、その血液が尿の生産工場である腎臓を通ることで尿が作られます。尿管を通り膀胱に溜まり、尿道を経て排尿となります。

 つまり水分摂取量(飲んだ量)が増えれば、尿も増えるのはごく自然なメカニズムです。当たり前すぎて拍子抜けするかもしれませんが、まずここを疑う事が基本中の基本です。夜のトイレが気になる方は、寝る前の一杯を見直してみてください。アルコールは控えめに・・・逆に高齢者の脱水状態も注意が必要なのでお水を飲まないのはダメです。飲み過ぎ注意ぐらいが調度イイあんばいかもしれません。また、日中の水分まで極端に減らすのはおすすめしません。水分量を調整するなら夕方以降、という時間の使い分けが現実的です。

 ちなみにお酒はいびきの原因としても登大きく影響を与えます。気道の粘膜を浮腫(むく)ませて、気道を狭くすると同時に尿も増やします。お酒は夜の眠りにとって、二重の妨害工作をしていることになります。

◯ 犯人② 膀胱と前立腺のトラブル

 2つ目は泌尿器系(膀胱と前立腺)の病気です。膀胱は尿を一定量ためておく水筒のようなものです。この一時貯蔵施設が何らかの原因で小さくなってしまったら、どうなるでしょうか?すぐ満タンになって溢れてしまいます。膀胱炎、過活動膀胱、ハンナ型膀胱などをお持ちの方は、夜間だけでなく一日中頻尿に悩まされます。

 ちなみに尿産生工場である腎臓は、血流さえ保たれていれば一定の時間に一定の尿量を機械的に作り続けています(細かくご説明すると腎臓内部の糸球体で血液から尿が濾過されます。その後に尿細管で大部分の水分が再吸収されて血液に戻ります。ここに吸収障害があると尿量が一定にならないこともありますが……マニアックすぎますので、必殺・流し読みでお願いします。)

 中高年の男性に多い前立腺肥大も夜間頻尿の大きな原因です。ここは場所の理解が必要になりますので、少しお付き合いください(もう無理〜という方は、必殺・飛ばし読みでどうぞ)。前立腺は膀胱から尿道が出ている、その真下の尿道周囲にあります。つまり尿の通り道を、ぐるりと取り囲むように位置しているわけです。前立腺が肥大すると中心を通っている尿道が圧迫されて細くなります。その結果、出口が細い細いホースになってしまっているので、尿はチョロチョロとしか出ません。蛇口を少ししか開かれてない水道口と想像していただければイメージを共有できるのではないでしょうか?十分に尿を出しきれないので、膀胱の中に尿が一定量残ってしまいます、いわゆる残尿です。(尿が出る仕組みは、膀胱の出口にある尿道括約筋がゆるみ、腹圧と膀胱自体の収縮で絞り出されるというものです。ここもマニアックなので読み流しで結構です。)

 残尿がある状態でも、腎臓からは一定量の尿が産生され続け膀胱に貯留され続きます。すでに半分水が残った水筒にさらに水が注がれ続けますので、膀胱はすぐ満タンになってしまいますので尿意をすぐ感じてしまいます。(尿意そのものは膀胱がパンパンに張って引っ張られ、膀胱表面の神経が脳へ信号を送ることで生まれます。かなりマニアックですね〜必殺飛ばし読みO Kです。)

 泌尿器系の病気の方は、夜だけでなく昼間も頻尿に悩まされるのが特徴です。会議中や電車の中でも尿意で落ち着かない、外出のたびにトイレの場所を確認してしまう場合、日中の尿意が多いなら泌尿器科の出番です。膀胱や前立腺(男性に限る)を確認してもらいましょう。

◯ 犯人③ いびきと無呼吸

 3つ目は・・・このブログのメインテーマである閉塞性睡眠時無呼吸症候群の登場です。人間は胸腔内を陰圧にすることで呼吸をしています。横隔膜が下へ引っぱられ肋骨と肋骨の間が広がる。その結果、空気が口から咽頭、喉頭、気管を通って肺胞へ流れ込みます。ところが閉塞性睡眠時無呼吸症候群の方は、舌根沈下によって上気道が塞がっています。胸腔内は陰圧なのに、空気が肺に入ってきません。しかし陰圧である以上、何かが胸腔ないに流入しないと体が困ってしまいます。空気の代わりに入ってくるもの……何だと思いますか。

それは・・・血液です!

 各臓器を循環している静脈血は、胸腔内の陰圧に引っ張られ“わ〜っ”と心臓へ流れ込みます。正確には右心房という場所へ急速に入り込み、右心房はパンパンに膨れて心房壁が引き伸ばされます。(ちなみに心臓には4つのお部屋があり、右心房→右心室→左心房→左心室と血液が流れます。)

するとあなたの体は判断します。“体を回っている血液量が増えたぞ、水が多すぎるぞ”と感じて、おしっこ出そうぜホルモン(利尿ホルモン)を分泌するのです。利尿ホルモンは腎臓に作用し、尿の産生を増やします。しかも無呼吸が起きている夜間だけ増やします。これが夜間頻尿の正体です。体は間違ったことをしていません。心房が張っているという情報から、水が多すぎると判断しただけ。センサーは正常で、読み取った状況のほうが特殊なのです。

そのため、このタイプの夜間頻尿は水分を控えても解決しません。原因は飲んだ量ではなく、夜間に喉が塞がっていることなのです。

◯ まとめ

夜のトイレの原因は3つです。

・飲みすぎ

・泌尿器系の病気

・無呼吸

 見分けの手がかりは意外とシンプルです。昼間も尿意が近いなら泌尿器系、お酒が大好きなら夜だけなら水分過剰摂取、夜の水分を控えても変わらないなら無呼吸です。

年のせいだと諦めて、水分だけ我慢している方は少なくありません。しかし原因が異なれば、せっかくの我慢は無駄になるだけではなく、脱水のリスクを増やすだけです。夜中に尿意で起きるたびに睡眠は分断されます。無呼吸で起こされ、トイレでまた起こされる。原因を放置していると、眠りは二重に削られていきます。

 人間の体は無限のメカニズムで制御されています。だからこそ原因を1つに決めつけず、心当たりのものから改善・調整していきましょう。

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