睡眠のゴールデンタイムはいつでも良かった!〜レム睡眠とノンレム睡眠の基礎〜

ちょっと医学的な睡眠講義

ーー 要約 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・睡眠には2つのステージがある(レム睡眠とノンレム睡眠)

・睡眠のゴールデンタイムは22時〜2時ではない

・ギョロギョロ眼球がレム睡眠

・90分の倍数で起きる説は、間違いではないが正しくもない

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 今回は少し基礎に戻り睡眠の仕組みを整理します。睡眠はまだわかっていないことが多い分野です。だからこそ、現時点でわかっていることとわかっていないことを分けてお伝えしたいと思います。すでにご存じの方は、復習だと思って読み飛ばしてください。

あの「睡眠のゴールデンタイム」の話にも決着をつけます。

◯ 睡眠には2つのステージがある

 睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠の2つのステージがあります。レム睡眠は夢を見ている、金縛りを経験していると言われている時間帯です。それ以外の多くの部分がノンレム睡眠に分類されます。睡眠に関する病気のない健常な方では、眠りが始まるとまずノンレム睡眠が出現します。いきなり夢の世界へ飛び込むわけではないのです。一晩の眠りは、この2つの睡眠が交互に現れながら朝まで進んでいきます。ひと晩中、同じ深さで眠っているわけではありません。

・ノンレム睡眠には“深さ”がある

 ノンレム睡眠には、深さという概念があります。浅いほうから順にN1、N2、N3の3段階です。では、どうやってN1〜N3を見分けているのか?現在は脳波の波形によって分類されています(詳しい睡眠脳波の話は、また別の機会に)。ここで押さえておきたいのがN3(一番深いノンレム睡眠)の出現するタイミングです。N3が出現するのは睡眠の前半が多く、睡眠が進むにつれて出現頻度が下がっていきます。そして朝の覚醒を迎えます。深い眠りは寝入ってすぐの時間帯に集中しているわけです。

 そしてもう1つ因果関係は年齢による傾向です。若い人ほどN3が多く出現し、年齢を重ねるとN3の出現は稀になっていきます。“年をとってから眠りが浅くなった気がする”とよく聞く言葉ですが、これは気のせいではないのかもしれません。睡眠中に出ている脳波の種類そのものが、若い頃と変わっている可能性があるからです。学生時代は昼まで泥のように眠れたのに、今は6時間で目が覚めてしまう。同じ“眠る”でも、中身が別物になっていると考えれば納得がいきます。根性や生活習慣だけの問題ではないわけです。

◯ “睡眠のゴールデンタイムは22時〜2時”は厳密には間違い

ここで少し脱線します。“成長には睡眠のゴールデンタイム(22時〜2時)があるから早く寝なさ〜い”と子供の頃に両親から言われた記憶のある方も多いのではないでしょうか?

これは厳密に言うと間違った見解です。

成長には成長ホルモンの分泌が必要です。ではどのタイミングに最も成長ホルモンが分泌されるかを理解する必要があります。 若い人は睡眠の初期にN3が出現しやすく、その時に成長ホルモンが多く分泌されます。つまり大切なのは時刻ではなく眠り始めの初期に訪れるN3の時期ということです。つまり20時に寝ようがAM1時に寝ようが、睡眠初期こそが成長のゴールデンタイムということになります。両親の言いつけを守って22時に布団へ入っても、N3が出現しなければ成長のゴールデンタイムは訪れません。時刻を守ることではなく、どれだけ深く眠れるかどうかが成長には大切です。

しかしながら日常生活を過ごす上で、親の言い分に意味がなかったわけでもありません。夜ふかしを続ければ寝つきも生活リズムも乱れますし、結果として深い眠りが得にくくなります。“22時”という数字が独り歩きしただけで早く眠る事、規則正しい生活をする事は正しかったという事です。

続いてレム睡眠のお話です。正直に言うと、これがなかなか説明しづらい、すべての人のすべての睡眠で一定、という決まりがないのです。

一般には次の様に言われています。

  • 眠ってから60〜90分程度で出現する
  • 1回あたり20〜40分程度続く
  • 80〜120分ごとに次のレム睡眠が現れる

これはあくまで目安です。個々の状況で変化しますし、そうとも言えない場合も多く存在します。“わかっていないことが多い分野”と冒頭で書いたのは、こういう部分のことです。

◯ パートナーのギョロギョロ眼球、それがレム睡眠です!

レム睡眠はREM(Rapid Eye Movement)の頭文字です。その名のとおり急速眼球運動を伴う睡眠を指します。ここで1つ実験をご提案します。パートナーが眠ってから90分ほど経った頃、その顔をよくよく観察してみてください。目は閉じているのに、まぶたの下で眼球がギョロギョロと動いているのを発見できるかもしれません。

まさにその瞬間がレム睡眠です。

もしかすると、あなたとの素敵な夢を見ているのかもしれません。あるいは、盛大に喧嘩している夢かもしれません。あまりじっと見つめていると、相手が目を覚ましたときに気まずいことになります。ほどほどに・・・・・・・

◯ “90分の倍数で起きる”説は正しいのか

“朝スッキリ起きられない人は、90分の倍数で目覚まし時計をセットするとイイよ”とネットやテレビでよく言われています。これって正しいのでしょうか?

睡眠と覚醒のタイミングの考え方としては、正しいというわけではないが間違っていないと言った答えとなります。睡眠と覚醒のリズムが個人個人で異なりますし、1個人においても日によって異なるため、はっきりとした答えを提示できません。

これは覚醒しやすいタイミングが睡眠周期のどこか?という事かと思います。レム睡眠やノンレム睡眠のN1のほうが、N3と比べて覚醒しやすいのは確かです。深いN3の最中に叩き起こされれば、誰だってつらい。この理屈自体は間違っていません。しかしながら、前述したようにレム睡眠の周期は絶対に90分というわけではありません。レム睡眠が続く時間も80分だったり120分だったり、一定でなくばらつきがあります。そもそも眠り始めてから最初のレム睡眠までが120分以上かかることもあります。90分できっちり刻まれている前提が、そもそも成り立たないのです。そのため“90分の倍数でめざまし時計をセットしたのに全然スッキリ起れない”という日があっても、自分の体がおかしいわけではありません。その日の周期が90分ではなかった、というだけの話です。

◯ まとめ

・睡眠には2つのステージがある(レム睡眠とノンレム睡眠)

・睡眠のゴールデンタイムは22時〜2時ではない

・ギョロギョロ眼球がレム睡眠

・90分の倍数で起きる説は、間違いではないが正しくもない睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があり、ノンレム睡眠はN1・N2・N3と脳波の違いで分かれます。N3は睡眠の前半に集中し、年齢とともに減っていきます。22時までに寝ることに意味があるのではなく、眠り始めにどれだけ深く眠れるかが成長には肝心です。子どもに早寝を勧めるなら、時刻よりも寝つきの環境を整えるほうが理にかなっています。そしてレム睡眠の出現周期は、人によっても日によっても異なります。90分の倍数説は便利な目安で間違ってはいないが正しくもない・・・と思っておくくらいが丁度どいいでしょう。

 

 

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