ーー 要約 ーーーーーーーーーーーーー
・食後に眠くなるのはグレリンの低下からオレキシンの分泌が抑えられるため
・夜に食べすぎると寝つけないのは、胃腸の活動で深部体温が上がるから(眠るには体温が下がっていく必要がある)
・夕食は就寝4時間前まで。難しい方は分食を・・
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お腹いっぱいご飯を食べると、眠くなりますよね。ランチの後なんて、めちゃめちゃ眠くて授業も仕事も手につかない。我慢できずにちょっとだけ寝てしまうこともしばしばです。この睡眠は本当に良い睡眠、深い睡眠になっているのでしょうか?そして夜はなぜか逆の現象が・・・お腹いっぱい食べた日ほど寝つけない。この矛盾を今回は是非解説していきたいと思います。
◯ 満腹になると眠くなるメカニズム
食後の眠気には解明されているメカニズムがあります。食事をすると血糖値が上がり、満腹サインを出すホルモン「レプチン」の分泌が増えます。すると空腹サインを出すホルモン「グレリン」が減り、覚醒に関わるホルモン「オレキシン」の分泌が抑えられます。オレキシンが抑えられると覚醒スイッチがオフとなり強烈な眠気がやってくるのです。人間も動物ですから空腹は生命の危機状態です。「餌もないのに寝ている場合ではない」、すぐに狩りにでも行ってマンモスの肉でも取ってこいという事です。逆にお腹が満たされれば、「お腹がいっぱい→生命の危機は去った→眠っても安心」というプログラムが働いているのかもしれません。昼食後の授業中の睡魔は、決してあなたの気合い不足ではありません。生き物として正しい反応をしているだけです。そのため昼食後の会議で眠くなるのを根性で乗り切ろうとしても無理です。どうしても集中したい午後があるなら、昼を軽めorダイエットのために昼食抜きが近道かもしれません。

◯ 夜ご飯を食べすぎると逆に眠れない不思議な現象
一方で、「夜ご飯をたっぷり食べた日に限って寝つきが悪い」という経験もありませんか? 血糖値は上がって眠気もあるはずなのに、なぜか寝付けない。「胃腸が弱ったのかな」「歳のせいかな」なんて思ってしまいますが、実はここにも理由があります。
カギを握るのは深部体温です。食事をすると胃腸がフル稼働して、深部体温がじわっと上がります。お風呂上がりと同じで、私たちの体は深部体温が下がっていくタイミングでいちばん眠りに入りやすくなるようにできています。つまり胃腸が消化のために忙しく働いていて深部体温が高いままの状態は、実は睡眠にとってベストコンディションとは言えません。
焼肉やステーキをガッツリ食べた日と、蕎麦やうどんをサラッとすすった日とでは体感も違うと思いますが、消化管の活動が落ち着くまでにはおよそ3時間かかると言われています。そう考えると、就寝の4時間前には食事を終えておくのが理想的です。
ちなみに手術前の絶食時間を見てみると、脂質を含む肉類は8時間、その他の食事は6時間、水やお茶などのクリアウォーターは2時間とされています。これは胃から腸へ内容物が移動するのに必要な時間の目安。そう考えると「4時間前」でもむしろ短いくらいかもしれません。とはいえ、それを言い出すと「夕食を食べるな」という極端な話になってしまうので、0時就寝の方なら、せめて20時前には夕食を終えるよう意識してみましょう。
◯ では、なぜ夜は寝つけないのか
しかし、ここで疑問が生まれます。
夜ご飯をお腹いっぱい食べた日は、なんだか寝つきが悪い、そんな経験ありませんか?血糖値は上がっているし眠気もあるのに寝つけないのは何故なのでしょうか?その答えの一つと考えられているのが深部体温の変化です。
食事をすると胃腸の動きが活発になり、深部体温が上がります。ところが人間は、お風呂上がりと同じで深部体温が下がっていくときにいちばん眠りやすいのです。つまり、胃腸が消化のためにフル稼働して体の中が熱を持っている状態は、睡眠環境としてベストとは言えません。眠気はあるのに眠れない、このが矛盾の正体です。例えるならエンジンをかけたまま駐車しようとしているようなものです。眠りたい体とまだ働きたい胃腸、二つの都合がぶつかっているわけです。「若い頃はこんなことなかったのに」と感じる方、私も同感です。年齢とともに深い睡眠そのものが減っていくことを考えれば、条件の悪い夜ほど影響が出やすくなるのは自然なことかもしれません。
◯ 消化が落ち着くまで約3時間
睡眠を開始するために食後どれくらい経過すると良いのでしょうか?焼肉やステーキを満腹まで食べた日と、蕎麦やうどんをすすった日とでは当然違います。全てを考えて目安はどれくらいかと聞かれたら、消化管の活動が落ち着くまでに要する時間は約3時間と言われています。そこで余裕をもって就寝の4時間前には食事を終えることをおすすめします。参考までに、手術前の絶食時間をご紹介します。これは胃の内容物が残っていることによる誤嚥を防ぐために設定されているものです。
- 脂質を含む肉類:8時間
- その他の食事:6時間
- クリアウォーター(水やお茶など):2時間
つまり、消化されて胃から腸へ移るまでにこれだけの時間が必要であるということです。しかも腸のほうでも吸収などの活動が続きますから、正直に言えば「4時間前まで」でも短いかもしれません。とはいえ、そこまで言い出すと「夕食は食べるな」という結論になってしまいます。現実的な線として、0時に就寝する方は20時より前に夕食を終える。まずはここを目指しましょう。
◯ 「帰宅が遅くて無理」という方へ
「仕事で帰りが遅いから無理だよ〜」。そんな声が聞こえてきます。
厳しい言い方をすれば、そういう方は夕食を・・「食べるな!!」です。痩せますし、頭ではわかっているのですが……できませんよね。はい、私もできません。
そんな方におすすめしたいのが、分食です。夕方に軽く食べておき、帰宅後は少量で済ませる。1回の量を分けることで、寝る前の胃腸の負担を減らせます。
ちなみに私の友人のマッチョ(ボディービル選手、正確にはクラシックフィジーク選手)の考え方では、分食して分食して胃を小さく小さくすることが、美しい筋肉をつくる秘訣だそうです。少し話が逸れましたね。
マッチョとは目的は違っても発想は同じです。一度にドカンと食べ物を胃の中に入れない。この一点だけでも寝る前の体はずいぶんラクになります。夜遅い日はうどんやお粥のように消化のよいものを選ぶ、脂の多いものは避ける。そんな小さな選択の積み重ねが快適な睡眠には十分に意味があります。
◯“食べてすぐ横になると牛になる”は本当だった。
小さい頃、両親にこう言われた記憶はありませんか。
「食べてすぐ横になると牛になる」
私はずっと、お行儀の悪い子どもを行儀良くさせるための脅し文句だと思っていました。もちろん、その一面もあるでしょう。
しかし、ここまで読んでいただいた方はもうおわかりですね。すぐ横になって眠り始めると、消化管の活動によって深部体温が上がり、良い睡眠がとりづらくなります。
さらに、睡眠中はあまり効率の良い消化活動が行われない傾向があるとも言われています。つまり、寝ながら消化しようという作戦は、睡眠にとっても消化にとっても損なのです。
食後は座って静かに休む。それによって消化吸収が促されます。牛にはなりませんが、昔の人の言い伝えは、けっこう理にかなっていたわけです。
科学的な説明が広まるずっと前から、体感として気づいていたのでしょう。こういう言い伝えを侮ってはいけませんね。
◯ まとめ
・食後に眠くなるのはグレリンの低下からオレキシンの分泌が抑えられるため
・夜に食べすぎると寝つけないのは、胃腸の活動で深部体温が上がるから(眠るには体温が下がっていく必要がある)
・夕食は就寝4時間前まで。難しい方は分食を・・。
今夜からできることは一つだけです。寝る時刻から4時間を逆算して、そこに線を引く。 その線より前に食べ終える日を、週に何日つくれるか。それだけで眠りの手応えは変わってきます。筋肉を育てるマッチョたちと同じで、良い睡眠のためにも食事を意識する必要があります。
あ〜、大変ですね!


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