ーー 要約 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
電車の中では熟睡できません。
- 体が倒れそうになるたびに、脳は覚醒している
- 注意睡眠状態のため、深い睡眠には入れない
- 揺れ自体は良いものだが、電車の揺れは「揺りかご」ではない
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
電車に乗ると、ついつい眠くなってしまいますよね。酔っ払って居眠りしているサラリーマン、口を開けて爆睡している学生さん(試験勉強で徹夜したのかな〜?)、日本の電車では日常的に見られる光景です。
なんて幸せで安全な国なのでしょうか。海外では電車の中で眠るのは致命的だと言われます。携帯やお金を盗まれる、命の危険すらあります。だから“電車で眠ることは非常識”が常識です。日本の当たり前は、世界の当たり前ではありません。裏を返せば、日本人は「気を抜いても大丈夫な環境」で暮らしているということでもあります。ありがたい話ですが、その安心感が日々の睡眠時間を安易に削っている原因にもなっているのです。
さて本題です。
電車で眠ると、良い睡眠が得られているのでしょうか?
揺れと睡眠には関係があるのでしょうか?
◯ 揺れは、眠りの誘いに効果的!
まず、揺れそのものの話からです。赤ちゃんを抱っこして、ゆら〜ゆら〜すると眠ってくれますよね。あれは揺りかご効果と呼ばれています。そして面白いことに、これは赤ちゃん限定ではありません。心地よい揺れは成人に対しても眠りを誘い、上質な眠りへいざなってくれると言われています。
(「いざなう」といえばキングボンビーですね。ご存じですか。桃太郎電鉄というゲームのキャラクターです。……話が逸れました。)
数字も出ています。優しく揺れるベッドでは、深い睡眠に達するまで約10分、動かないベッドでは約16分必要だったという報告があるそうです。この6分の差は大したことないように見えますが、毎晩のことだと考えると無視できない数字です。寝つきに時間がかかる人ほど、布団の中で“早く寝なければ”と焦ります。その焦りがまた眠りを遠ざけているのです。そこで、揺れがその焦りを肩代わりしてくれる、入眠の助けになるならなら、使わない手はないのではないでしょうか?
◯ 気持ちいい揺れには、条件があります
睡眠にとってどのような揺れでもいいのかというと、そうではありません。心地よさの程度には個人差がありますが、ある研究では次のような条件が挙げられています。
- 周波数0.25Hz(4秒に1回程度)
- 一晩中やさしく振動する
- 左右にも揺れる
1Hzは1秒に一回ですから0.25Hzは4秒に1回程度、想像していたよりはるかにゆっくりではないでしょうか。赤ちゃんを寝かしつけるとき、無意識にゆっくり揺らしていますよね。あれは経験から最適解にたどり着いていたのかもしれません。逆に早く寝てほしくて焦って赤ちゃんを早く揺らすと、かえって眠らない。心当たりのある方も多いはずです。
“車に乗せるとすぐ寝てくれる”という赤ちゃんの話もよく聞きます。あれもエンジンの一定した振動が効果的と言われています。ゆりかご、車、ハンモックなど人類が昔から使ってきた道具には、それなりの理由があったわけです。
◯ 電車の揺れはどうなのか?
ここからが本題です。揺れが入眠に良いことはわかりました。では電車の中では熟睡できるのでしょうか?電車で眠ると、電車の揺れに合わせて船を漕ぎます。ゆらゆら、こっくり、こっくり、そして大きく傾いて倒れそうになった瞬間、パッと正しい姿勢に戻る。この時点で、答えは出ています。
倒れそうになってパッと戻る瞬間、脳は覚醒して起きています。
つまり数分ごとに、そして駅に止まるたびに、電車で眠っている人間は覚醒を繰り返しているのです。これは以前お話しした睡眠時無呼吸の構図とよく似ています。本人は眠っているつもりでも、脳は何度も起こされている。時間だけが過ぎて、睡眠の中身が伴わないパターンです。30分の乗車でぐっすり眠ったつもりでも実際には、細切れの浅い眠りをつないでいただけ・・・ということになります。しかも眠っている姿勢にも問題があります。首がガクンと落ちた状態は、体にとって休息の姿勢ではありません。降りたあとに首や肩が痛い、頭がぼんやりする。あれは深く眠れなかった証拠のようなものです。
◯ さらに厄介な「注意睡眠」の存在
もう一つ電車の睡眠には特徴があります。注意睡眠状態と呼ばれるものです。降りる予定の駅に到着すると何故か目が覚める、慌てて電車を飛び降りる、そんな経験ありませんか?注意睡眠状態とは“降りなければいけない駅で起きなければ”という心理から、外部の音に注意を払いながら眠っている状態を指します。つまり脳は電車アナウンスを無意識のうちに聞き取り、情報処理を続けているわけです。「次は〇〇」という音声を待ち構えている。だから自分の駅でパッと目が覚めるのです。
とても便利な機能ですが、裏を返せば脳が仕事をしながら眠っているということです。見張り役を立てたまま休んでいるようなもので、そんな状態で深い眠りに入れるはずがありません。ちなみに、寝室の環境で「音は静かに」とお伝えしたのも同じ理由です。耳が働き続けている限り、眠りは浅くなります。
同じことは仕事の旅先のホテルや当直業務の時にも起こります。“明日は早いから寝坊できない”という心理が働いている夜ほど、妙に浅い眠りになりますよね。あれも脳の見張り役が立ったままの睡眠なのだと考えると納得がいきます。
◯ まとめ
結論です。
電車の中では熟睡できません。
- 体が倒れそうになるたびに、脳は覚醒している
- 注意睡眠状態のため、深い睡眠には入れない
- 揺れ自体は良いものだが、電車の揺れは「揺りかご」ではない
同じ揺れでも0.25Hzのゆっくりした振動と、加速・減速・停車を繰り返す電車とでは、体への意味がまるで違うということですね。一定のリズムなら眠りを助けますが、不規則な揺さぶりは起こす側に回ります。ですから、通勤・通学で“電車で寝ればいいや”と寝室での睡眠時間を削るのはおすすめできません。それは睡眠の前借りではなく、単なる不足です。
可能であれば学校や職場の近くに住み、ギリギリまで家でゆっくり眠る。これがいちばんの正解です。
……とはいえ、住む場所はそう簡単に変えられません。せめて「電車で寝たから大丈夫」という計算だけは、今日でやめておきましょう。あの30分は睡眠時間にはカウントされません、ご注意を・・・。


コメント
電車の揺れは確かに眠気を誘いますが、深い睡眠には適していません。特に通勤や通学中に眠るのは、安全面でもリスクが伴います。日本では電車内で眠る光景が日常的ですが、海外では考えられないことです。十分な睡眠を取るためには、家でゆっくり休むことが一番です。電車内での睡眠はなぜ深くならないのでしょうか? WordAiApi
Clustering様
ご質問ありがとうございます。
電車の睡眠が深くならない理由は、電車の揺れが原因です。
電車で座っている状態により電車が揺れることで姿勢が崩れます。その都度、人間は姿勢を保持しようと力が入り覚醒します。
そのためノンレム睡眠N3レベルまでの睡眠へは到底到達できないと考えられています。(ノンレム睡眠N1→N2→N3と深くなる睡眠)
全く揺れず、フラットで眠れれば家で睡眠している状況と同じなので深い睡眠が達成できるかと思います。
(例えば、飛行機のビジネス・ファーストクラスでの睡眠?)
しかしながら、電車で眠れる安全な国、日本はなんて素晴らしいと日々感じております。
海外にお住まいの経験が?